2017年、日本のアニメーションは生誕100年を迎えました。
現在では、日本文化の代名詞ともなっているアニメーション。多くの子どもたちが、初めての映画館で出会う“映画”は、アニメーション映画ではないでしょうか。映画館、テレビ、インターネット、ゲーム、スマートフォン、現代の私たちの周りにはアニメーション映像があふれています。およそ100年前、アニメーションは、どんなものとして生まれたのでしょう。100年あまりでどんなふうに変化したのでしょう。「こども映画館 スクリーンで見る日本アニメーション!」では、現在、見ることができる日本最古のアニメーションから、子どもから大人まで大人気の現代の作品まで、日本のアニメーション映画の歴史に触れ、アニメーションを体験することができる、子どもたちにも、大人にも楽しんでもらえるプログラムを準備しました。
『パンダコパンダ 雨ふりサーカス』©TMS
『太陽の王子 ホルスの大冒険』©東映
『白蛇伝』©東映
『パンダコパンダ』©TMS
『人魚』©手塚プロ
『人魚』©手塚プロ
*開催日程は会場によって異なります。
『セロ弾きのゴーシュ』
「NFAJ短篇集:歌とリズム」
『パンダコパンダ』
『音のない世界で』
『ルパン三世 カリオストロの城』
ほか
『パンダコパンダ』
『太陽の王子 ホルスの大冒険』ほか
*開催日程は会場によって異なります。
①サイレント映画の活弁・演奏付上映(会場ごとに異なります)
②世界のアニメーション作品集(1)
『めんどりの踊り』『ビーズ・ゲーム』『あめのひ』、『線と色の即興詩』、『ホッキョクグマすっごくひま』、『二羽の小鳥』、『こどもの形而上学』
③『ルパン三世カリオストロの城』
④『音のない世界で』
『パンダコパンダ』
『パンダコパンダ 雨ふりサーカス』
ほか
『パンダコパンダ 雨ふりサーカス』
子どもたちが「こんな上映会に行ってきたよ!」と思い出に残る上映会を作ってみましょう。映画を観るだけでなく「特別な何か」(+α)の時間を用意することで、映画の鑑賞体験がより豊かになります。
子どもたちに上映会に観に来てもらうだけでなく、子どもたちと一緒に上映会を作ってみましょう。
ポスターのためにB1サイズ程度の模造紙やサインペン、絵の具などの画材を用意するほか、作品のスチルなどコラージュに使える素材も用意しておくといいでしょう(権利処理の確認が必要です)。 ミシン目カッターを用意すると、子どもたちも喜ぶ本格的なチケットが作れます。
上映会当日には、チケット販売やもぎりのほか、会場の装飾やポップコーンの販売、司会進行や上映作品の前口上を子どもたちに担当してもらうなど、上映会の盛り上げにも活躍してもらいましょう。
いま見たばかりの映画について対話をしてみましょう。初めて顔をあわせる人たちの前では、自分の感想を伝えるのが難しいかも知れません。仕掛けを用意してみましょう。
映画の中でもっとも印象に残った場面(びっくりした/笑った/怖かった/悲しかった/楽しかった…)を絵に描いてみましょう(5分~10分)。
絵に描いたあとは、みんなに対して「どんな場面か?なぜ印象に残ったか?」をお話してもらいましょう(10~15分)。
グループ発表でもよいでしょう。上手な絵を描くことが目標ではないことを伝えましょう。解説者が手順を説明する際には、棒人間をわざと下手に描いて見せるなど、子どもたちの心理的なハードルを下げるように心がけてみましょう。
原作がある映画の場合、映画と原作では描かれ方にどのような違いがあったか、を対話形式で聞き取りしてみるとよいでしょう。
あらすじ、登場キャラクター、作品から受ける印象などを比べてみます。小さな子どもたちにはクイズのような楽しみがあり、映画への集中力も高まります。『おこんじょうるり』のような短い作品の方が向いていますが、『河童のクゥと夏休み』や『銀河鉄道の夜』のような長編では、事前に原作を読み込んできてもらうことにより、作品への理解が深まり、読書感想文などへの手がかりともなります。
視覚おもちゃの工作ワークショップの他にも、映画のなりたちを知るきっかけを用意してみましょう。
普段は入れない特別な場所ということで、映写室を子どもたちに見てもらうと、映画の仕組みを知るきっかけになるでしょう。いつも目にしているモニターに映し出される映像ではなく、会場の後ろから光が投射され、大きなスクリーンに映し出されることで多くの観客と同じ体験を同時に共有できます。
スクリーン前のスペースに余裕があれば、自分たちの体を影絵でスクリーンに映すことで、光と影の関係を感覚的につかむこともできます。
初期のサイレント映画には音がついていません。活動弁士や伴奏をつけて楽しんでみることで、映画の歴史と原理を学ぶことができます。
35mmでもよいですが、より手軽な16mm映写機が用意できる場合は、実際に子どもたちの目の前で操作して、フィルムの小さな1コマから大きな映像が映し出される仕組みを知ってもらいましょう。 映写機の取扱説明書などの構造図を利用して、解説した内容を書き加えるワークシートとしてもよいでしょう。
フィルムを実際に用意して、触れてもらいましょう。子どもたちにとっては、見て触って体感することが大事です。大きさ(35mm、16mm、8mmの違い)や、長さ(1秒間24コマがどれくらいか。3分間は?など)、重さ(フィルム缶に入れた1リールを実際に持ってもらう)など、子どもたちの体で体験してもらいましょう。
アニメーションの上映にあわせ、簡単なワークショップを行うことで、親子の映画鑑賞への参加を促すことができます。鑑賞後にアニメーションのキャラクターに色を塗るなど、手を動かしながら、鑑賞した映画の感想を聞くだけでも構いません。簡単な準備で、子どもから大人まで楽しめる視覚玩具づくりを通して、アニメーションのしくみを理解することができます。動きを楽しむのであれば、丸や三角などの単純な図形でも十分です。時間に余裕がある場合は、色を塗るなど丁寧につくることで完成度が高くなります。
親子で参加の場合は、子どもだけの活動スペースをつくり、親も作品を制作することで、子どもが自由にいきいきと活動できます。いずれのワークショップも、最初に参加者が完成したマジックロールやソーマトロープにふれて体験すると、導入がスムーズになります。ちいさな子どもでも夢中になると非常に集中します。驚き盤のように根気がいるものは20~30分を目途に休憩を入れることが大切です。
キットを用意する場合は失敗することも考え、参加人数よりも多めに用意しましょう。またハサミ、カッター、画鋲などの使用や管理には注意が必要です。
視覚玩具は一人で楽しむものが中心ですが、カメラで撮影し、プロジェクターなどに投影することで、映画のようにみんなで作品を共有することが可能になります。
対象年齢、時間は目安です。
活動・場所を説明します。
見本をみせながら説明します。
具体的に作りながら説明をします。進めながら、子どもが理解しているか確認し、困っていればスタッフが対応します。
発見したことなど、楽しかったこと、大変だったことなど、感想を聞いてみましょう。
説明5分、制作10分
身近なものでアニメーションの原理を楽しめるしくみ。
用意するもの:A4用紙(長辺を4分の1に切る)、HB以上の濃さの鉛筆、色鉛筆、消しゴム、ペン、カラーペン
説明5分、制作30分
1枚の紙でアニメーションをたのしめるしくみ。
用意するもの:A4の紙、セロファンテープ、5センチ角セロファン(赤と青)、赤ペン、青ペン
説明10分、制作30分
用意するもの:7.5cm角の付せん2枚、輪ゴム二つ、鉛筆、消しゴム、ペン、カラーペン、色鉛筆、穴あけパンチ(あればパンチラベル)。
※付せんを使わない場合は紙(コップを使い、円を描くことで代用)とのり、ハサミを使います。
説明10分、制作60分
8つの絵を描いてアニメーションをつくります。
用意するもの:鏡、割り箸、画鋲、セロテープ、はさみ、定規、のり、鉛筆、消しゴム、ペン、カラーペン、白い紙、濃色の厚紙、お皿
貴重な初期アニメーションやアニメーションの様々な技法をみることができる短篇集、
長篇アニメーションの新旧の傑作など、日本が培ってきた素晴らしいアニメーションの歴史の一端を知り、
その魅力に触れることができる作品集です。
©東映
薮下泰司/1958年/81分
*国立映画アーカイブ所蔵
©東映
高畑勲/1968年/82分
*国立映画アーカイブ所蔵
©東映
矢吹公郎/1969年/80分
*国立映画アーカイブ所蔵
岡本忠成/1982年/26分
詳細はこちら©TMS
高畑勲/1972年/35分
詳細はこちら©TMS
高畑勲/1973年/39分
詳細はこちら大友克洋/1995年/107分
詳細はこちら原恵一/2007年/138分
詳細はこちら高畑勲/1982年/63分
詳細はこちら
体育デー
(村田安司/1932年/9分)
こねこのらくがき
(薮下泰次/1957年/13分)
もりのおんがくたい
(神保まつえ/1960年/14分)
人魚
(手塚治虫/1964年/8分)
児童唱歌映画 村祭[デジタル復元版]
(大藤信郎/1930年/3分)
茶目子の一日[パテ―トーキー版][デジタル復元版]
(西倉喜代治/1931年/7分)
RHYTHM
(荻野茂二/1935年/2分/16fps)
くもとちゅうりっぷ[デジタル復元版]
(政岡憲三/1943年/16分)
ホーム・マイホーム
(岡本忠成/1970年/4分)
なまくら刀[デジタル復元・最長版]
(幸内純一/1917年/4分/16fps)
煙り草物語[不完全版]
(大藤信郎/1924年/3分)
漫画 二つの世界
(村田安司/1929年/15分/18fps)
PROPAGATE(開花)
(荻野茂二/1935年/4分/16fps)
対象年齢:5歳以上 薮下泰司/1958年/81分 *国立映画アーカイブ所蔵
日本で最初の本格的長篇カラーアニメーション映画で、東映動画の長篇第一作目。ベルリン国際映画祭やベネチア国際映画祭でも上映され、国内外で数々の賞を受賞した、日本アニメーション史・日本映画史において重要な作品です。中国の明・清の時代に流行したお話に題材を得た、子どもから大人まで楽しめる愛の物語を、美しいなめらかな動きで描いています。魚の精や許仙(シュウセン)の友達のパンダやミミィなど、脇役も個性豊かで魅力的。
許仙という少年に命を救われた、白蛇の化身の娘・白娘(パイニャン)。美しい娘になった白娘と立派な青年に成長した許仙は再びめぐり逢い、ふたりは恋に落ちます。白娘の秘密を見破った和尚がふたりを引き裂こうとしますが、白娘の愛の力は奇跡を起こします。
白蛇伝[デジタル復元版] 1958年/カラー/81分
演出・脚本:薮下泰司 原作:上原信 台詞構成:矢代静一 撮影:塚原孝吉、石川光明 原画:大工原章、森康二
動画:大塚康生、坂本雄作、喜多真佐武、紺野修司、中村和子、寺千賀雄ほか 美術:岡部一彦、橋本潔
音楽:木下忠司、池田正義、鏑木創
[出演] 森繁久弥(許仙)、宮城まり子(白娘)
©東映
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対象年齢:小学生以上 高畑勲/1968年/82分 *国立映画アーカイブ所蔵
東映動画の長篇14作目にあたり、様々な困難を乗り越えて3年の歳月をかけて作り上げられました。公開当時は興業的な成功には至りませんでしたが、いまでは東映動画の最高傑作とも言われています。日本を代表するアニメーション作家高畑勲(長篇初監督作品)と宮崎駿(原画および場面設計)が参加しています。
遠い北国に住む少年・ホルスは、岩の巨人の肩に刺さっていた剣を抜いてあげたところ、それは“太陽の剣”と呼ばれる名剣でした。父を失い、遺言に従って旅に出たホルスは、悪魔に崖から突き落とされますが、流れ着いた村で仲間として迎え入れられます。しかし、悪魔の妹・ヒルダのたくらみで村から追放されてしまいます。悪魔の襲撃を受けている村に戻ったホルスは、剣を鍛え上げ、村人と共に戦います。
太陽の王子 ホルスの大冒険 1968年/カラー/82分
演出:高畑勲 脚本:深沢一夫 作画監督:大塚康生 美術:浦田又治 場面設計:宮崎駿 原画:森康二ほか
音楽:間宮芳生
[出演] 大方斐紗子(ホルス)、平幹二朗(悪魔グルンワルド)、市原悦子(ヒルダ)、東野英治郎(村の鍛冶屋ガンコ)、三島雅夫(村長)
©東映
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対象年齢:5歳以上 矢吹公郎/1969年/80分 *国立映画アーカイブ所蔵
ネズミを助けたことで死刑を宣告された猫のペロは、縛り首の縄を切って逃げ出します。逃走中に助けたピエールを、お婿さんを探している国王の娘・ローザ姫の婿にと売りこみますが、魔王ルシファがローザ姫を奪って城に監禁してしまいます。ローザ姫を救出すべく、高い城、そびえる塔、吊り橋などを舞台に激しい戦いが繰り広げられ…。シャルル・ペローの童話をもとに、井上ひさしと山元護久が脚本を書き、ギャグ監修に中原弓彦こと小林信彦を迎えた豪華なメンバーで製作されました。愉快なギャグとアクションが盛りだくさんの長篇アニメーションで、東映動画を代表する作品です。朝日に溶けていく魔王や、その光の中を落下していくローザ姫とピエールを救う鳩の群など、救出場面はアニメーションならではの表現に満ちています。
©東映
長靴をはいた猫 1969年/カラー/80分
演出:矢吹公郎 原作:シャルル・ペロー 脚本:井上ひさし、山元護久
作画監督:森康二 音楽:宇野誠一郎 美術:浦田又治、土田勇
[出演] 石川進(ペロ)、藤田淑子(ピエール)、榊原ルミ(ローザ姫)、水森亜土(殺し屋)、水垣洋子(ネズミのチビ)
©東映
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対象年齢:5歳以上 岡本忠成/1982年/26分
様々な素材や技法を駆使し、幅広い世代が楽しめるアニメーションを作り続けた岡本忠成作品の魅力が凝縮された代表作です。寝たきりで孤独だったイタコのおばあさんと、どんな病気でも治せる不思議な浄瑠璃を歌うキツネが、お互いを思いやる心の交流を描きます。ストップモーションの技法で動く民芸品風の土人形や張り子の素朴さ、東北訛りを活かした台詞や浄瑠璃調のオリジナル曲など、岡本作品の特徴であるアクションと語りと音楽の生き生きとした調和が、観客の涙を一層誘います。俳優の長岡や小野寺、津軽三味線の高橋らの東北出身者などのスタッフのアイデアや能力をまとめあげた岡本の卓越した演出力を見ることができます。
おこんじょうるり1982年/27分/カラー
脚本・演出:岡本忠成 原作:さねとうあきら アニメーション:藤森誠代、長崎希、吉田悟、渡辺雅子、中島佳子、横川たか子 人形:保坂純子、阿彦よし子、佐野吉紀 背景:岩佐ひろみ、三澤博道、渡辺静子 撮影:田村実、伊丹邦彦 録音:甲藤勇 編集:相沢尚子
語り・声:長岡輝子、小野寺かほる、木村富穂、後藤哲夫
唄:曽我マミ 作詞:東川洋子 作曲・演奏:高橋祐次郎、堅田喜三久、中川善雄 振付:藤間蔵人
作画・仕上:槇坂千鶴子、柳本孝子、黒田直美 協力:平井孟
製作:桜映画社、エコー社
対象年齢:3歳以上 高畑勲/1972年/35分
スタジオジブリ以前に宮崎駿・高畑勲コンビが手掛けた劇場用中篇アニメーション作品です。
後年の『となりのトトロ』などにも共通するモチーフが凝縮されていて、高畑・宮崎作品の原点としても評価されています。海外児童文学『長くつ下のピッピ』の世界観をもとにお茶目な少女の冒険が描かれます。保護者が不在となった日常に不思議な訪問者が現われて自由奔放なもうひとつの家庭生活が繰り広げられるという物語です。オープニングの愉快な楽曲は小さな観客たちを夢中にさせ、ギャグとアクションが詰め込まれたテンポのよい展開は飽きさせません。
主要キャラクターは、何でも自分でできるしっかり者のミミ子ちゃん、体が大きくてユーモラスな仕草の父パンダのパパンダ、小さくてかわいい子パンダのパンちゃん、という3者のコンビネーションが面白く、愛らしい魅力にあふれています。
当時、パンダが日本の動物園に登場して空前のパンダブームが起きたことから企画されました。パンダ人気が定着して、多くの保育園・幼稚園に「ぱんだ組」がある現在も、たくさんの子どもたちに親しみを持って楽しんでいただける名作です。
©TMS
パンダコパンダ 1972年/35分/カラー
監督:高畑勲 原案・脚本・画面設定:宮崎駿 作画監督:大塚康生、小田部羊一
美術監督:福田尚郎 撮影監督:清水達正 音楽:佐藤充彦
制作:東京ムービー(現 トムス・エンタテインメント) 制作協力:Aプロダクション
[出演] ミミ子:杉山佳寿子 パパンダ:熊倉一雄 パンちゃん:太田淑子 おばあちゃん:瀬能礼子 おまわりさん:山田康雄
©TMS
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対象年齢:3歳以上 高畑勲/1973年/39分
『パンダコパンダ』の続編であり、さらにファンタスティックな冒険の描写を発展させた傑作として前作に引けを取らず評価されています。特に、ジブリ作品のルーツとして、洪水で水没した町を舞台に繰り広げられるアクションと救出劇によるクライマックスの醍醐味が印象的です。また、親子の情愛というテーマについても、パンダ親子の仲睦まじさに加えて、サーカス団から逃げて来た虎の子のトラちゃんと母トラとの親子の絆が描かれ、深い情感に訴えかけます。スタッフには前作と同様に素晴らしいチームが参加しており、作画監督として東映動画時代から宮崎・高畑をバックアップしてきた先輩である大塚康生と小田部羊一、また、後にジブリ作品でも活躍するスタッフとして、原画に近藤喜文、背景に男鹿和雄が携わっています。
パンダコパンダ 雨ふりサーカス 1973年/39分/カラー
監督:高畑勲 原案・脚本・画面構成:宮崎駿 作画監督:大塚康生、小田部羊一
美術監督:小林七郎 撮影監督:清水達正 音楽:佐藤充彦
制作:東京ムービー(現 トムス・エンタテインメント) 制作協力:Aプロダクション
[出演]ミミ子:杉山佳寿子 パパンダ:熊倉一雄 パンちゃん:太田淑子 トラちゃん:丸山裕子 おばあちゃん:瀬能礼子 サーカス団員:山田康雄 サーカス団長:和田文雄
©TMS
©TMS
対象年齢:5歳以上 高畑勲/1972年/35分/35分
大友克洋が製作総指揮・総監督を務めたオムニバス・アニメーションです。
宇宙船のクルーたちが不思議な世界に迷い込む第1話「彼女の想いで」、製薬会社の社員のちょっとした過ちが国家レベルの危機に発展する第2話「最臭兵器」、生活のすべてが大砲を撃つことに注がれる架空の街を舞台にした第3話「大砲の街」の、3つのエピソードで構成されています。
「彼女の想いで」では、ソプラノ歌手の妄執が幻想的な世界を作り出し、記憶をめぐってミステリアスなドラマが展開されます。コメディ・タッチの「最臭兵器」では、ブラック・ユーモアを効かせてエスカレートする兵器開発を風刺しています。絵本を思わせるような独特の画風で描かれる「大砲の街」では、全篇が切れ目のないワン・ショットの映像のように見せる処理がされるなど、各エピソードが違った持ち味を出しています。
大友克洋は、“駆け抜ける映画”をイメージして、この作品に取り組んだということです。そのイメージどおり、疾走感あふれる石野卓球のテクノサウンドがエンディングに流れ、チェコ・フィルハーモニー・オーケストラの演奏による第1話、ジャズのビッグバンド風の第2話と、作品を彩る音楽もバラエティーに富んでいます。
MEMORIES 1995年/114分/カラー
製作総指揮・総監督:大友克洋
タイトルミュージック:石野卓球
製作:バンダイビジュアル、松竹、講談社
EPISODE1 彼女の想いで
監督:森本晃司 原作:大友克洋 脚本・設定:今敏 キャラクターデザイン・作画監督:井上俊之
音楽:菅野よう子 美術:池畑祐治、小関睦夫、山川晃、山本二三 撮影監督:枝光弘明
キャスト(声の出演)
ハインツ:磯辺勉 ミゲル:山寺宏一 エヴァ:高島雅羅 イワノフ:飯塚昭三 青島:千葉繁
EPISODE2 最臭兵器
監督:岡村天斎 原作・脚本・キャラクター原案:大友克洋
キャラクターデザイン・作画監督:川崎博嗣 音楽:三宅純 美術監督:串田達也 撮影監督:山口仁
キャスト(声の出演)
田中信男:堀秀行 韮崎:羽佐間道夫 本部長:大塚周夫 鎌田:阪脩 大前田:緒方賢一
EPISODE3 大砲の街
監督・原作・脚本・キャラクター原案・美術:大友克洋 キャラクターデザイン・作画監督:小原秀一
技術設計:片渕須直 音楽:長嶌寛幸 撮影監督:枝光弘明
キャスト(声の出演)
少年:林勇 父親:キートン山田 母親:山本圭子 先生:仲木隆司 指揮官:中村秀利
対象年齢:小学3年生以上 原恵一/2007年/138分
対象年齢:3歳以上
いろいろな動物が登場するアニメーション作品を集めた短篇プログラムです。
アニメーションでは、猫が落書きをしたり、カンガルーがボクシングをしたり、動物たちは自由自在に動き、そして想像上の生き物まで活き活きとした姿を見せることができます。動物園の休園日に動物たちが体育大会を開催し、鉄棒や柔道、ボクシングなどさまざまな競技で競い合う『体育デー』は、切り紙を得意とした村田安司ならではの滑らかな動きの切り紙アニメーションです。東映動画の第一作目『こねこのらくがき』は見事なフルアニメーションで、後に日本初の長篇カラーアニメーション『白蛇伝』を演出した薮下泰司が演出しています。ロバ、犬、猫、鶏が泥棒たちを追い払う『もりのおんがくたい』は、グリム童話が原作の人形アニメーションで、教材映画や児童向けの人形アニメーションを生み出した学研映画で数々のアニメーション作品のプロデューサーも務めた神保まつえによる作品。手塚治虫が草月のアニメーション・フェスティバルで発表した実験的な作品『人魚』は、空想の許されない国で人魚に恋をした少年を描いたファンタジーです。
体育デー 1932年/横浜シネマ商会/白黒/9分/無声 作画:村田安司 原作・脚色:青地忠三
こねこのらくがき 1957年/東映動画/白黒/13分 演出:薮下泰次 音楽:伊藤宣二
もりのおんがくたい 1960年/株式会社学習研究社/カラー/14分 演出:神保まつえ 人形・装置:佐々木章 撮影:佐竹荘一
人魚 1964年/虫プロダクション/カラー/8分 演出・原案・構成・作画:手塚治虫 原画:山本繁 音楽:冨田勲 撮影:佐倉紀行
©東映
©Gakken
©手塚プロ
対象年齢:3歳以上
歌やリズムが楽しいアニメーション作品を集めた短篇プログラムです。
千代紙を使った大藤信郎の『児童唱歌映画 村祭』は、どんなメロディーだったのでしょう。想像してみてください。『茶目子の一日』は、茶目子が朝起きてから、歯を磨き、朝ごはんを食べ、学校に行った後に映画を見るという一日を、オペレッタ調に描いています。個人映画作家の先駆者・荻野茂二の抽象アニメーション『RHYTHM』は、幾何学図形でリズムを表現しています。かわいいてんとう虫の女の子がクモに追いかけられて困ってしまい、チューリップのお花の中に逃げ込む『くもとちゅうりっぷ』は、戦争中に製作されたにも関わらず詩情あふれるのびやかな作品で、日本アニメーションの父とも呼ばれる政岡憲三の代表作のひとつです。さまざまな素材を用いてストップモーションアニメーションを生み出した岡本忠成の『ホーム・マイホーム』は、マイホームを夢見るキツネとモグラのお話をリズミカルな歌に合わせて描いた作品で、ペーパークラフトを用いています。
児童唱歌映画 村祭[デジタル復元版] 1930年/千代紙映画社/染色/3分/無声 作画:大藤信郎
茶目子の一日 [パテ―トーキー版][デジタル復元版] 1931年/協力映画製作社/白黒/7分
監督:西倉喜代治
RHYTHM 1935年/白黒/2分/無声 監督:荻野茂二
くもとちゅうりっぷ[デジタル復元版] 1943年/松竹動画研究所/白黒/16分
演出・脚色・撮影:政岡憲三 原作・作詞:横山美智子 作曲:弘田龍太郎 動画:桑田良太郎、熊川正雄
ホーム・マイホーム 1970年/エコー社/カラー/4分
演出・脚本:岡本忠成 人形:保坂純子 撮影:吉岡謙、田村実 作詞:香山美子 作曲:横山菁児 歌:熊倉一雄、真理ヨシコ
対象年齢:3歳以上
日本でアニメーションが作られ始めた頃は、切り抜いたキャラクターなどを背景の上に乗せて動かす切り紙の手法が多く使われ、その後、セル、人形などのストップモーション、CGなど、さまざまな手法が用いられました。現存する日本最古のアニメーション『なまくら刀』は、下川凹天、北山清太郎と並ぶ日本アニメーションの3人の創始者のひとり、幸内純一の切り紙アニメーション作品です。黄色や青色は、白黒フィルムを染料などで染める“染色”で色を付けています。千代紙を用いたアニメーションなどで知られる大藤信郎の『煙り草物語』は、切り紙と実写を合成しています。後半は失われていますが、続きはどのような物語だったのでしょう。切り紙の名手・村田安司による『漫画 二つの世界』はイソップ寓話の「アリとキリギリス」を元にした教訓映画で、昆虫の触覚や手足などが細かな切り紙で表現されています。個人作家のパイオニアで、紀行映画、記録映画など400本以上の作品を製作した荻野茂二の『PROPAGATE(開花)』は植物の成長をダイナミックに描いた抽象アニメーションで、海外でも高い評価を得ました。
なまくら刀[デジタル復元・最長版]1917年/小林商会/染色/16fps/4分/無声 作画:幸内純一
煙り草物語[不完全版]1924年/東京自由映畫社/染色/3分/無声 監督:大藤信郎
漫画 二つの世界 1929年/文部省/染色/18fps/15分/無声 監修:青地忠三 漫画:村田安司
PROPAGATE(開花) 1935年/白黒/16fps/4分/無声 監督:荻野茂二
一般社団法人
コミュニティシネマセンター
film@jc3.jp
050-3535-1573
一般社団法人コミュニティシネマセンター、国立映画アーカイブ
「こども映画館 スクリーンで見る日本アニメーション!」企画グループ(企画・テキスト作成)
岩崎ゆう子、碓井千鶴、岡崎匡、小川茉侑、佐藤武、志尾睦子、冨田美香、中西香南子、村上朗子、森宗厚子
「こども映画館 スクリーンで見る日本アニメーション!」は、フィルムの上映環境を確保するための、コミュニティシネマセンターの「Fシネマ・プロジェクト」の一環として、国立映画アーカイブと共催で実施しています。